介護施設に豪華さは必要ありません。
役に立つ施設が成功のポイント！
規模や立地など、希望を明確にしましょう。
■成功する福祉建築
数多くの福祉建築の設計実績のある設計者であっても、実際に利用者の立場、運営する側の立場を経験した設計者は皆無に等しいと言えます。
「福祉建築はこうあるべきだ」という固定観念にとらわれず、設計は柔軟に考えることが大切です。
必要と思われるものをすべて満たす設計をすると、とんでもなく大きな建物になってしまった、ということはよくあることです。 施設基準を満たすことは当然ですが、基準以外については本当に必要かどうかをよく検討した上で、できるだけコンパクトにまとめることが大切です。
見た目の豪華さや贅沢さは建てる側の自己満足に過ぎません。利用者が快適に過ごし、満足して頂けるサービスを提供できることこそ重要ではないでしょうか。 お金を掛けるところは十分掛け、抑えるところはできるだけ抑えるといったメリハリが大事です。
福祉建築というものは、一般住宅のように必要な広さや建築費が広く一般に知られている訳ではありません。しかし、そういった予備知識がないと設計者が考えた設計が広さや建築費の基準と考えてしまうことになりかねません。 一般的なデイサービスを一例に、広さや建築費の目安を頭に入れておきましょう。 過去の実績から当社が考える目安として、広さは「利用定員×2」坪、例えば、定員30名だと60坪、40名なら80坪となります。 また、建築費については立地条件や設計仕様によって異なるものの、おおよそ新築なら坪65万円程度、改修だと坪30万円までに収まっていれば、決して高くないと言えます。
■失敗しない物件の探し方
どれくらいの規模の事業所を目指しますか？また、建築資金を含めた総事業資金はどの程度お考えですか？
具体的にイメージできていなければ、物件の希望条件が決まりません。
目指すべき事業所の規模から坪数を考えることと同時に、建築資金の面からも事業所の規模を考えなければなりません。
地域や立地条件のよって、土地の価格やテナントの家賃にバラツキがあるのは当然ですが、翻って、介護報酬は地域間で若干の格差はあるものの、大きな開きはありません。どこで開業しても収入面に一定の限界がある以上、より価格や家賃の条件の良い場所を探すべきでしょう。
土地購入をお考えの方は、土地購入資金以外に建築資金や運転資金、備品等その他必要資金といった全体の資金計画を明確にしておくことが不可欠です。
一方、既存テナントを利用した改修をお考えの場合、毎月家賃を支払わなくてはなりませんので、安いに越したことはありません。しかし、家賃が安いからといって、初期投資（建築資金）に多大な費用を要するようでは運転資金に支障が生じます。
そのあたりのバランスを考える必要はありますが、仮に大都市圏であっても家賃は坪7,000円以下で収めたいところです。全体の事業計画に占める賃料の割合は大きなものですので、家賃設定を誤ると非常に厳しい経営を迫られることになります。
「駅前、交通の便、近くに何々…」住む際に重視する諸条件はほとんど必要ありません。あえて言うなら、交通量の激しい幹線沿いよりも一本通りを隔てた場所をお勧めします。利用者が通行人の視線を気にするようだとちょっと考え物です。
とりわけ空きテナントについては、数多くの候補物件が出てくるかというと、物件の数自体が少なく、少ないがゆえに情報が出ればすぐにほかのひとに決まってしまう可能性が十分あります。じっくり検討する時間がないのが実情です。
空きテナントに関しては、物件情報が出ればすぐに手を打つ準備が不可欠です。つまり、家賃相場の把握、市場調査、物件診断を迅速に行う準備です。